長く書き込みを怠ってきました。「毎日ウェブを見ているが・・・。」と出逢った方から言われる事が増えました。政治家が毎日何をして何を考えているかを市民に伝える義務を私は放棄している。と反省しております。
少し言い訳を申し上げれば、日々の活動がゆっくりとデスクに向かう時間を与えてくれない事です。朝7時から街頭に立ち、8時から演説を行い、9時から地域の方とあいさつ回りを続け、夜は座談会や政策勉強会と続きます。各種アンケートへの回答や礼状書き。そして今一番、重量感がある仕事は、公開討論会用の資料分析です。議員時代の質問書きを含め、行政資料の分析力には自信がありますが、しかし今振り返ると県庁職員の方からのブリーフィングの上に乗っかっていただけで自分一人で判読することの難しさにぶち当たっています。ともあれ、候補者同士が個人の力とメッセージ力をぶつけ合う公開討論会に 私自身の能力を振り絞って臨むつもりです。
長い書き込みですが、公開討論会用に勉強している内容について書き込みます。
今、私が注目しているのは「現職市長の選挙チラシの重点実績のうち、市債残高の縮減についての記述」です。
(なお、前橋市資料は、インターネットから取ったもので、前橋市の財政課の作成と思われますが、出所は定かではありません。但し、現職の資料とは数字が一致していますので、資料の根拠資料と考えています。)
この内部討議資料によれば、重点実績として、市債残高を2577億8千万円から631億5千万円減の1946億3千万円にしたとあります。
これを裏付ける資料、これは恐らく前橋市の財政課が作った資料ですが、をインターネットで見つけました。
経営において重要なのは、まず、中長期を見通した総合的な経営計画があって、その中で借入金の水準でなければならないかを行政サービスとの見合いで議論するべきであって、何も前提の無いまま借入金の絶対額だけを取り出して運営の善し悪し(健全経営)を言うのは稚拙な議論です。現市政は、借入金の削減を言う前に、これまで8年間、どのような財政運営を理想としてきたか、それに照らして、成果は上がったかを市民に示すべきです。
それはさておき、この削減の中身はどうかを分析してみましょう。
まず631.5億円の縮減額の中には、臨時財政対策債が除かれています。臨時財政対策債は、この間、294.5億円増えていますから、この増加分を含めると、全体の借入金縮減額は336.9億円しかなく、市では、一般会計の縮減額が24.2億円(寄与率7.2%)、水道事業会計や下水道会計の縮減を加えて106.5億円(全体の縮減額の31.6%)の縮減になります。実は、市債の残高の縮減と言うなら、本当は、臨時財政対策債を含めた、この106.5億円が正しいのです。なぜなら現職市長の資料の「631億5千万円縮減」と言う数字は、前橋市が作成した資料を見ればわかるとおり、土地開発公社など市の関連団体の借入金も含めた数字です。市債とは、文字どおり「市」が発行する債券(あるいは、借入金)ですから、関連団体の借入金は「市債」ではありません。したがって、資料で「市債残高631.5憶円縮減」とあるのは誤りで、正しくは、「市債残高106.5憶円縮減」です。
さて、市長側がどうして臨時財政対策債は明らかに「市債」ですが、なぜこれを除いて残高を捉えているかというと、臨時財政対策債が、地方交付税の代替措置という性格を持っており、元利返済分は国から交付されるという仕組みからでしょう。しかし、それで良いのでしょうか。
鳥取県県民課が臨時財政対策債を非常にわかりやすく解説しているので、以下に引用します。
臨時財政対策債は、国から地方自治体に交付する地方交付税の原資が足りないため、不足分の一部をとりあえず臨時財政対策債として地方自治体に借金させて窮状をしのぎ、借金の返済時に地方交付税として地方自治体に返すという趣旨で設けられました。
臨時財政対策債は交付税措置のある地方債で、特徴として借りたお金を自由に使え、返済額の100%を地方交付税措置(基準財政需要額に算入)してもらえますが、返済時にその他の財政需要を踏まえた所要額が地方交付税として交付されるとは限りません。
過去に景気対策として実施した公共事業の財源として発行した交付税措置のある地方債の返済が本格化している昨今、普通交付税総額を見ると現実には減額になっています。これは普通交付税の基準財政需要額が毎年度見直されて、約束した借金返済以外の部分が削減されているからだと考えられますが、同様の事態が臨時財政対策債の返済時にも起こることは十分に考えられます。
制度の成り立ちから考えれば、臨時財政対策債は地方交付税の身代わりのようなものですが、ここで気を付けなければならないのは、あくまでも地方自治体の責任において行う借金であるということであり、借金の状況については住民が監視する必要があります。
【鳥取県県民課HPより引用】
臨時財政対策債は、親(国)が子供(自治体)に仕送りをするのに、お金が無いからとりあえず子供に借金させ、返済は親がするというような制度で、こんなヘンテコな制度を導入すること自体、将来の補填が怪しいのです。ですから、交付税措置があるだろうというだけで、自治体の責任において行う借金である臨時財政対策債を計算から、安易に除いてしまう現市政の感覚はいかがでしょうか。
さらに、地方交付税は、そもそも収入額が需要額に足らないため、行政サービスの水準を維持するために国から交付されるものであり、その水準は、市の財政力の強さに依存します。良い行政運営とは、交付税(これも国民が税として負担しているものです)になるべく頼らず、市域の経済を活性化することで税収を確保することを通じて実現されるものです。
さて、全体の縮減額のうち、寄与が大きいのは、これは市債ではありませんが、資料で「市の関連団体」と言っている土地開発公社と工業団地造成組合です。土地開発公社の借入金の返済原資は、一般会計が公社の先行取得用地の買い上げたこと(再取得)によるものです。もともと土地開発公社は、市からの依頼に基づいて、金融機関から資金を借り入れて公共用地を先行取得するのが仕事であり、先行取得した土地は、市の公共事業の計画により計画的に一般会計に買い取られる性質のものです。
ですから、土地開発公社の借入金残高は、本来、当然に市の公共事業計画に連動する性質のものであり、その残高の多い少ないは、本来は土地開発公社運営の巧拙に影響しません。
むしろ、公社の運営で問題なのは、市の事業計画の遅れなどに伴って、一般会計に引き取られないまま長期間塩漬けにされている土地の存在であり、これについては、平成21年度の前橋市の包括外部監査報告書において、鋭い指摘がされているので以下に引用します。
平成20年度末の保有土地総額12,922,540千円に含まれている利息は、1,523,785千円であり、帳簿価額の11.8%にもなっている。市の所管部局による事業計画の脆弱性が市財政に多額の負担を強いる結果になり、その責任は重大である。又、保有期間が10年を超えているものが8,731,554千円あるが、これは上記通知4(11)により、保有期間が10年を超えた年度の次の年度中に、当団体に協議した上で、当該土地の用途及び処分方針を再度検討することが求められている。しかし、現状では行われていない。長期保有土地について、本来の計画目的、長期化している経緯、事業化の目途、再取得の予定期日等を市の各所管課に照会したところ、明確な事業化計画が確立されていないものや、計画が頓挫している案件が見受けられた。長期化の継続により市民の負担増がより強いられることや利活用からのサービスを受けられないことは大きな損失であることから、早急に事業計画をたて有効活用するか、場合によっては譲渡処分することも検討する必要がある。
【平成21年度包括外部監査報告書87頁より引用、下線と傍点は筆者】
これは、現市政が発足してから6年間も経過しての指摘です。土地開発公社は、地価の高騰が著しかった時代に自治体が土地を効率的に取得できるようにするために考案された制度ですが、議会の議決なしに土地を購入できるため、これまでも不適切な自治体運営の温床となることが指摘されてきた制度であり、全国的に清算が進められているものです。現市政発足前に、前橋市土地開発公社の長期保有土地の問題は顕在化し、経営健全化計画を定めていた訳ですから、6年も経過してこのような指摘を受けるのは、現市政の公共事業計画及び土地開発公社の長期保有土地の解消への対応が遅きに失していたと言え、一般会計が再取得して公社の借入金を減らすのは当然のことです。
次に、前橋工業団地造成組合ですが、これについては、日本共産党の前橋市議団が質疑を行っておりますので、長いですが以下に引用します。
1、前工団財政について伺います。
①22年度に引き継ぐ21年度末の元利償還金つまり借入金残はいくらでしたか。
答 79億79万円。
②H22年度歳入歳出決算意見書のP2で、ローズタウン住宅団地東地区をH21年度に土地開発公社に売却したことを述べていますが、約11㌶と伺っていますが、いくらで売却したのですか。
答 11億6700万円。
③なかなか売れないローズタウンを一気に11㌶土地開発公社に売却して、前工団としては財政的に救われたようですが、土地開発公社としては大きな買い物をしたことになり、土地開発公社としてもこの約11㌶の土地を早く売却しなければならないと指摘されているとおりです。また、前橋市からの組合運営支援に係わる負担金は、20年度補正では13億8411万1千円ときいていますが、21年度補正はいくらの負担金を市の一般会計から繰り入れたのでしょうか。決算額をお答えください。
答 10億5095万1千円。
④H20年度と22年度を合わせると24億3506万2千円を市の一般会計から繰り入れたことになりますね。続いて、22年度に朝倉工業団地の土地買い入れなどが始まりましたから、新たに借り入れを起したようですが、いくらの借り入れを起したのですか。
答 21億230万円。
⑤朝倉工業団地造成の拡張には約30億円の借り入れを起す計画とお聞きしていましたが、最初の借り入れた金額が21億230万円ということですね。同時にH22年度も単年度収支を合わせるために、前橋市からの組合運営支援にかかわる負担金として、市の一般会計から約9億円の予算を繰り入れましたが負担金の決算額はいくらになったのでしょうか。
答 8億7361万7千円。
⑥そうしますと、私は、これまで市の一般会計から繰り入れた金額は約34億円といってきましたが、正確には33億867万9千円ということですね。
続いて、H22年度の元利償還金つまり借入金の残額はいくらになったのでしょうか。
答 83億9610万円。
⑦大変な借り入れになっています。前工団財政は、新たに進めている朝倉工業団地の売却が計画通りに運んだとしても、多額の借り入れが残ることは必至です。民間の企業にたとえれば、会社更生法の適用を受けるか、破産するか、いずれを選択しなければならない状態だと思います。今後について、12月市議会での総括質問をした議員への当局答弁では「庁内で検討していく必要があると考える」と述べていますが、確か管理者は「朝倉工業団地造成の拡張はさせてほしい」と言うようなお答えをしていたのではないかなと思いましたが、あらためて、前工団の早い終息を求めますが、どのような段階で、どんな方法で終息することを考えているのかお伺いします。
答 一定の役割りは終えつつある。先が見えた段階でメリット・デメリット、引継ぎ方法を県とも相談していく。
【日本共産党前橋市議団HPより引用】
以上から同組合の借入金の返済は、市の一般会計からの繰り入れと、ローズタウンを土地開発公社へ売却したことによる資金と推察されます。いわば、土地開発公社と工業団地造成組合とで借金のつけ回しをしたということでしょう。通常であれば、こうした事業は土地価格が継続的に下落していく中でもっとスピード感を持って事業清算に取り組まなければならない問題であり、平成15年度から借入残高を累計でいくら減らしたというべき性質のものではありません。
最後に、グリーンドーム前橋ですが、これは建設に要した借入金の返済でしょうから、返済計画に従って返済を行うため減るのが当たり前で、もし、減らないとすれば債務不履行となり大問題です。
こう考えると、市債ではありませんが、市の関連団体の借入金の縮減についても、実績とするには疑問が残ります。
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市債の削減の実態についてのコメントに終始しましたが、もっとマクロに申し上げれば、一つ一つの事業が乗っかるべきグランドデザインの空虚さこそ、現在の市政運営の本質であると感じております。